ゲーム
2026/09/21 13:31

『モンスターハンターワイルズ:アセンダンス』開発者インタビュー:『ワイルズ』の正当進化を目指して生まれた新アクションや様々な改善。Switch2版は地道な最適化を繰り返して実現!

東京ゲームショウ2026の会場にて、『モンスターハンターワイルズ:アセンダンス』の辻本良三プロデューサー、平岡拓朗ディレクター、藤岡要エグゼクティブディレクター兼アートディレクターと、Nintendo Switch 2『モンスターハンターワイルズ』の砂野元気プロデューサーに3メディア合同でインタビューを行った。

ブーストブレイサーは武器種の特徴や強みを活かす要素

──ブーストブレイサーが、従来の拡張版の追加アクションと比較するとかなり大胆な要素になっているかと思いました。追加したきっかけを教えてください。

平岡 モンハンのアクションって、モンスターの隙にハンターが攻撃をするっていうのが基本にあります。罠を使ったり、閃光玉を使ったり、あとは『ワールド』以降ですと環境も使ってチャンスを作っていくじゃないですか。それで怒り状態だと隙が少なくなって、疲労中だと隙が生まれる時間が多くなる。

『アセンダンス』もそのベースで作っていくことになりましたが、それとは別にプレイヤー側からチャンスメイクを作れるアクションができないかと考えまして。それを突き詰めていったら、「ゲージが溜まったら攻撃チャンスを作れる」というブーストアクションに繋がっていきました。そのため、意図して大きい要素を入れようとしたのではなく、任意でチャンスタイムを増やせる要素を考えた結果がブーストブレイサーになった形です。

──『ワイルズ』だと最終環境では足回りの良い武器種と悪い武器種で、立ち回り難度の差が大きかった印象です。そういったところもブーストブレイサーのアクションで改善しようという考えはあったのでしょうか。

平岡 どちらかというと、14武器種の特徴や強みをブーストブレイサーでしっかり強くするところが最初のコンセプトにありました。足が遅い武器種を速くするみたいな、弱点部分を埋めたかったわけではなく、ブースト発動アクションはその瞬間にしか使えないので、そこだけはリミッターを外してもいいかなと考えたんです。例えば大剣のブースト中は一気に距離を詰められるようなこともできるようになりますが、それを通常時からできてしまうと、武器種のコンセプトに反してしまうので。

──ブーストブレイサー以外にも新アクションが追加されておりましたが、どういった方針で追加されていきましたか?

平岡 それぞれの武器種を担当する調整班と、ワイルズの段階からもう少し伸ばせるところや改善できるところ、追加したら面白そうなアクションを1つ1つ相談していきました。例えば片手剣は手数の多さや器用さが強みの部分なので、『クロス』にあった「刃薬」を参考に、「刃薬斬り」というアクションを追加しました。

──追加アクションの中でも特にユーザーに注目してもらいたいものはありますか?

平岡 すごく難しいですが…よく言われるのはハンマーですかね。「飛び込みスマッシュ」という技なのですが、ハンマー使いの人が求めていたアクションを作れたのかなと。使ってて気持ちいいし、絵的にも映えるので、すごく気に入っています。ハンマー使いじゃない方も思わず使いたくなる技になっているのではないでしょうか。

──全武器種で相殺が可能になりました。今回はアクションのテーマとして相殺がキーになるのかという印象でしたが、こちらの経緯を教えてください。

平岡 ブーストブレイサーを追加した発端の話に戻るのですが、ブーストゲージが溜まった際にプレイヤーの思考が少し変わるというか、今ストックが溜まっているからこの選択肢が取れるかもしれないところの広がりをまず作りたくて。また、ブースト中はせっかくストックを消費しているのだからハンターが無理やり攻撃を通せるタイミングを作りたく、「ここに相殺があったらいいんじゃないか」と考えていった結果、全武器種に相殺が入ることになりました。

最初から『アセンダンス』で全武器種に相殺を入れようと思ったわけではなく、ブーストアクションとして作りたかった動きを求めた結果そうなったという形ですね。

──アラケータの動きを見ていると、積極的に相殺を狙って立ち回ることを前提にしたモンスターなのかなと思っていました。

平岡 「翼に空気を入れて圧縮して一気に吐き出す」という機構の部分と、強さの序列を考えると攻撃の予兆を分かりやすく作る必要があります。それで結果的に相殺が狙いやすいモンスターにはなるので、そういった印象を受け取られていたのかと思います。

──試遊版でもUI周りの変化や、オプション機能の追加など、『ワイルズ』でユーザーが求めていた改善点が積極的に採用されている傾向に見られました。こちらはアンケートの結果などを見て重点的に調整していったのでしょうか。

平岡 まず『アセンダンス』のプロジェクトをスタートするにあたり、コンセプトとして「ワイルズをちゃんと正当進化」させることを掲げました。ただ正当進化って言葉は広すぎるので、組み砕いて何をするかやろうとした時に、僕たちがいいと思っているものも、ユーザーの皆さんが喜んでいたり楽しんでいたりする部分をしっかり伸ばす、という部分をまず意識しました。

僕はワイルズチームではなかったのですが、『ワイルズ』のタイトルアップデートでいろいろ改修はしていったものの、やはり根本的にシステムを変えなきゃいけない部分は時間をかける必要があるので、それはアセンダンス側で引き取ることになったんです。フィードバックをたくさんいただいているところや、自分たちから見ても改善できるところがあるんじゃないかという部分に関しては、徹底的に改善してくことで正当進化ができるのではないかと考えました。

そのUIやオプション設定含め、「こういう意見があるということはこういうことをしてほしいのかな」と考えて、できることならどんどん改善していこうと。ユーザーの皆さんの熱量が高いタイトルでもあるので、その熱量に応えていくため開発メンバーで協力して取り組んでいきました。

──最近カプコンさんタイトルの開発インタビューで度々「ユーザーの遊びの幅を広げる」といったお言葉を聞いております。開発としてのこだわりの部分についても変化が出ているのでしょうか。

辻本 自分たちが持っているこだわりであったり、やってほしい遊びとあったりとか、体験してほしいことはしっかりと考えています。その中でアクセスするためにやりにくい流れや、意図が伝わりにくい部分、こういう遊びをしてほしいと思っているのにあまり機能していない部分については手を入れていきました。こだわりすぎないという話ではなくて、こだわりというのは持ったうえで、いろいろな意見を参考に調整をしているという形です。

──最初に『アセンダンス』のPVを見た時はクルペッコみたいなものかと思いきや、実際には全然違うモンスターでした。アラケータのコンセプトについてお聞かせください。

平岡 「雲居の遺跡群」に集団で行動するモンスターというコンセプトが最初にありました。ボス個体と子分が存在していてドシャグマみたいな群れを成しているけど、ドシャグマは個々が「俺が俺が」という形で襲ってくるのと違い、アラケータは統率が取れた社会性を持つ形にしようと考えて。それで「ボスが命令を出すと子分が近寄ってきて一緒に行動する」という部分に繋がっていったんです。

藤岡 突進するモンスターということで、その突進仕方について考える際、羽がジェット機みたいに噴射すると見た目的にも分かりやすいし面白いだろうと思って設計していきました。ただ噴射して突っ込んで行くのはいいけれど、突っ込む動作についてはどうしたらいいかデザイン部分で思考錯誤があって。結果的に頭部とか翼のナックル部分といいますか、そこをキュっと固めるとカチカチになって突っ込んでいくみたいな動作が生まれました。行動自体はシンプルだけど、子分に指示出しをすることで揺らぎが出たり、大きな攻撃が来ることの予兆になるので、また違ったゲーム性も生まれるんじゃないかと。

──翼から噴射という部分ではバルファルクも連想しますが、あれとはまた違う形ですね。

藤岡 そうですね、あくまで風船するように膨らませてから噴射する仕組みです。突進する前に羽が開いて、圧縮することで突撃してくるという、表現的にも分かりやすいデザインにしました。

『ワイルズ』のストーリークリア率は高い

──『ワイルズ』ではゲーム自体のボリュームについて多くの声があったかと思います。例えば『ワイルズ』や『アイスボーン』と比べてどれくらいのボリュームになるかという可能な範囲でお聞かせいただけないでしょうか。

平岡 どのタイトルに近いかっていうのは人の受け取り方で変わっちゃうところもあるので言えませんが、リリースした段階でやりごたえのあるエンドコンテンツや、装備を強くした結果、チャレンジしていくコンテンツを用意する形で開発を進めております。

──『アセンダンス』から始めるユーザーも増えるかと思いますが、『アイスボーン』であった防衛隊武器みたいな、MRまでスムーズに突破しやすくなる装備の実装は考えておられますでしょうか。

平岡 いろいろなデーターを取らせてもらっている中で、『ワイルズ』のストーリークリア率って、過去作と比べて非常に高くなっています。そういった部分を踏まえて現状はガーディアン装備のようなものの実装は予定していません。とはいえ新規で始める方に向けて、何かしらの施策は考えていきたいなと考えております。

藤岡 ガーディアン装備は救済処置として入れたものですが、本来『ワールド』を遊びながらアクションが上達していってほしいというレベルデザインをしていたんです。それがガーディアン装備で一気に駆け抜けてしまうと成長しない形で進んでしまうので、『アイスボーン』に入ったときにギャップがすごい大きくなるという問題もあったんです。安易にああいった装備を足しても解決しないので、そこは一回冷静に考えましょうと。

ただ、今作で言うとブーストブレイサーが『アセンダンス』を購入していただいたら『ワイルズ』のストーリーの段階から使えますし、単純にアクション部分はブーストがかかっている状態です。先程あったクリア率のことも考えると、1つ1つアクションに慣れながらストーリーをクリアしていくこと自体はそんなに難易度高くはないんじゃないかなと思っています。

──『アセンダンス』では新しい料理ってありますか?

藤岡 1つの拠点には1つの料理っていうの決めているので、今回は拠点が増えたということでその法則したがって増やす感じで…。

辻本  あります、あります(笑)。

藤岡 どういう料理かは楽しみしていただければ。

──今後の新情報や、どんなモンスターが登場するか、ヒントみたいなものだけでも教えていただけないでしょうか。

藤岡 古龍はまだ出ますよ。

砂野 それめちゃくちゃ手前の段階ですよね(笑)。もう出し始めている。

平岡 ヒント来ましたね! 古龍はまだ出ます(笑)。

藤岡 今回お話の中心がラオシャンロンを筆頭に古龍がどんどん現れ出したというストーリーになります。それがちゃんと展開の中で一大事になっていくように描くには、古龍という存在は手厚く出していく必要があるので、結構まだ控えています。今回の新モンスターであるグンドラージャについては、平岡がそういうストーリーであるなら新しい古龍を1体ちゃんと出したいということで誕生しました。

辻本  ヒント、というわけではありませんが、メインモンスターはまだ出ていません。

砂野 グンドラージャがメインモンスター説ありましたね。

──レ・ダウも最初メインモンスターではと言われていたことがありました。

辻本  その時もインタビューでメインモンスターではないと言っていたような?

藤岡 言ってましたね。メインモンスターは別にいますよって。

地道に最適化を繰り返して実現したSwitch2版

──Nintendo Switch 2版の『ワイルズ』についてお聞かせください。『ワイルズ』から発表されるまでに様々なカプコンタイトルのSwitch2版が発表されて、もしかしたら『ワイルズ』もワンチャン…?と思わせるようでもありました。いつ頃から実現が決まったのでしょうか。

砂野 しっかり手を動かし始めたのは25年の6月くらいですね。

藤岡 以前から何回か移植できないかっていうのはあったんですが、そこに手がかけられなかったというのと、単純に落とし込むだけでは難しくて。しばらく断念していたのですが、『ワイルズ』の制作が落ち着いてから手が離れたメンバーも出てきたので、主要メンバーを集めて本気で取り組んでみようとなったのが去年の年末前くらいです。

辻本  骨格化したのは去年の年末前くらいですね。かなり制作を追い込んでやってきた部分もあり、1つのことをやれば全部なんとなるっていうレベルじゃなくて、1つ1つ問題点を潰していって最適化していきました。

──ということはかなり急ピッチで作業を進めていったのですか?

藤岡 いや、動くっていう可能性がある状態ではあったので、その前から検証は続けていました。本気で落とし込めるかをちゃんと見てみないことにはということで。

砂野 最初はもう全然動かない、というところからでした。それでどういう手段があるのか情報を集めて、検証を繰り返していって。パフォーマンスをどう上げるか、どういったところを削れるかとか検証自体は後々既存のプラットフォームでの改善として活かせるだろうという考えもありつつ進めてきました。

辻本 Switch2版での特有な調整もしているので、全部が活かせるというわけではないですが、「こうすればこうなる」という経験を積むことで今後に生きてくるかと。

藤岡 REエンジン側で軽量化できる部分もあったので、そこはタイトル間で共有できたこともありまし、本体側の処理上げとしてもSwitch2に落とし込んで検証することの恩恵は実際にありました。

辻本 本当にスタッフが地道に粘り強くやっていった結果、なんとかできたという感じですね。

──ということは、特定の何かがきっかけができたので実現したわけではなく、細かい部分の調整を繰り返していった結果ということなのですね。

藤岡 そうです。最初はとりあえず動くところまで持っていかないと始まらないと、1回すべて割り切って商品レベルじゃない段階まで落としてみたら動いたんですよ。あとはどう商品レベルまで戻していくかというターンを入れたので、そこからやることが見えてきて、その時になんとか行けそうかなとなっていきました。

辻本 最初は結構微妙だったけどね…(笑)。本当にいけるかどうかっていうのが。

砂野 これならいけるのではないか?と思って辻本さんに見せたら、「いや、もう一段階頑張ろう」ということに。

藤岡 「ただの劣化したワイルズ」と言われてしまうのはマズイと。そこからは本当に緻密にどう戻していくかというのをパズルみたいにやっていきました。瞬間的な場面だけでも落としていくみたいな、ミリ単位で今の状態まで落とし込むことができました。みんな頑張ってくれましたね。

──解像度やフレームレートの違いはあれど、試遊した感じでは既存プラットフォームと同じように遊ぶことができました。

砂野 PlayStation5Proと比べると見た目的な部分に違いはありますが、『ワイルズ』を体験してもらううえでは劣化移植版にならないよう、大きな違いがなく自然に楽しんでもらえるようにしました。ちゃんと製品レベルになったものを見ていただけたのではと。

おわり

モンスターハンターワイルズ:アセンダンス
発売日:2027年 発売予定
プレイ人数:1人(オンライン1人~4人)
ジャンル:ハンティングアクション
対応ハード:PlayStation5 / XBOX Series X|S / Nintendo Switch 2 / Steam
クロスプレイ対応
©CAPCOM

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