HD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』試遊レポート:幅広いユーザーに対応し、遊びやすくなったゲーム性
発表から約3年、ついに11月14日の発売が決定したHD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』の先行プレイレポートをお届け。メディア向け試遊会にて、序盤の範囲を約1時間体験してきた。本記事では試遊範囲の中からわかった注目の要素などについて紹介していく。
また、動画でも実際のプレイ内容を追いながら紹介しているので、そちらを見てもらえると本作がどういったリメイクになっているのか伝わりやすいかと思う。特に音楽は動画でしか聴けない部分なのでぜひ。
※画面・映像はすべてプレイステーション5版の開発中のものです。
※本記事のボタン表記はすべてプレイステーション5版準拠になります。
【試遊範囲での新要素&注目部分】
・作り込まれたグラフィック
・迫力のオーケストラ音源と細かい環境音
・幅広いユーザー層に対応した豊富なシステム設定
・ゲーム難易度を3段階から変更可能
・オートセーブに対応(手動セーブとは別データ)
・手動セーブは教会で「おいのりをする」(冒険の書は最大9個)
・バトルスピードを3段階から変更可能
・全体的に敵の複数同時出現が多め
・自動そうび機能で装備の付け替えもお手軽
・地図とミニマップで目指す場所や現在地が把握しやすい
・目的ガイドで次の行き先がすぐに把握できる
・原作の面影を残しつつアレンジされた構造のダンジョン
・キメラのつばさで訪れた町やダンジョンなどほとんどの拠点に移動可能(頭はぶつけない)
・入手できるアイテムもいろいろな変化
★堀井雄二氏と早坂将昭プロデューサーによるメディア向けビデオレターよりコメント抜粋
【堀井氏】
シリーズとしては『DQI』『DQII』に続く3つ目の作品ですが、時系列としては『DQIII』が物語のはじまりとなっているので、新しいファンの方にはぜひこのHD-2D版から遊んでもらいたいと思っています。
バトルシステムやストーリーなど作品の根幹となる部分は原作から大きく変えてはいませんが、今の時代に合わせてたくさんの改良を重ねてパワーアップしているので、以前からのドラクエファンの皆さんも新鮮な気持ちで今作を楽しんでもらえると思っています。
本作の発売まで、まだまだ皆さんへ情報をお届けできることを楽しみにしています。
【早坂P】
最初の発表からかなり時間が経ってしまいましたが、ようやくお披露目できるようになりました。本作はグラフィックの刷新を最大のポイントとしているタイトルです。
『DQIII』は現実世界をモチーフにしたような舞台設定となっており、さまざまな地域が登場します。しかし、原作では容量の関係で各地の見た目の差別化に限界がありました。そこで本作は、“世界旅行感”というキーワードを大事にしながら、しっかりとそれぞれの地域らしさが表現できるようにHD-2Dをフル活用してビジュアルを制作しています。
現代にリリースされるゲームとしてふさわしいように遊びやすさの向上にもしっかりと手を加えています。また、皆様が気になっているストーリー周りについても、堀井さん監修のもとでエピソードの追加がなされています。それもぜひ楽しみにしてください。
本作はリメイクなので、原作ファンの方々に喜んでいただかなければなりませんが、まだ『DQIII』を遊んだことがないというシリーズファンはもちろん、「ドラゴンクエスト」自体を遊んだことがないJRPGのファンの方にも手に取っていただけるような作品を目指しました。今回のプレビューでそういった意図を感じてもらえるとうれしいです。
HD-2Dで生まれ変わった世界
スクウェア・エニックスが開発した「HD-2D」技術による、ドット絵と3Dを融合したグラフィックでリメイクされた本作。本来浮きやすい「ドット絵のキャラクター」と「3Dの背景」の組み合わせがうまくなじんでおり、4K解像度など大きなモニターで見ても遜色ないビジュアルに仕上がっている。
「グラフィックの刷新が最大のポイント」と言うように、今回試遊した旅立ちの地であるアリアハンだけでも、村やダンジョンの作り込みぶりが伺えた。原作やSFC版ではシンプルな洞窟として描かれていた場所も、鍾乳洞や地下砦といった雰囲気に変化しており、「ここまでやってくれるのか」と感じるクオリティ。これまでドット絵の印象で固定されていた『DQIII』の世界観に、新しいイメージを提供してくれた。
『DQIII』は現実世界をモチーフにした舞台設定になっており、ゲーム内の大陸が我々の住む地球の大陸と似た形になっている。原作では容量の関係で各地域の差別化に限界があった部分も、今作では特色が出るように作られているとのことでこちらも楽しみな部分。
フィールドのあちこちにキラキラ光っている場所があり、調べると複数のアイテムが入手できた。たねや装備も手に入るなど落ちているアイテムとしてはなかなか豪華。目的地へ一直線で行くよりも、少し脇道にそれてアイテムを回収していくと攻略の手助けになりそうだ。
ゲーム内の時間経過によって、フィールドの情景が昼→夕方→夜と変化もしていく。夕焼けが美しい。
アリアハンの城下町やレーベの村では、おおむね原作に近い施設の配置。広くなったことでそのぶん村人も増え、原作と同じ会話から新しい会話まで聞くことができる。 画面右上にはミニマップが表示されるので周囲の位置も把握しやすい。
ナジミの塔という場所に通じる地下ダンジョンは原作だと特に名称がなかったが(ナジミの塔扱い)、今作では「地下水道」という名称が付けられている。こういった新しいロケーション名が設定されている場所もあるのだ。
また、原作ではシンプルな洞窟として描かれていた場所も、異なるイメージにリニューアルされている。ダンジョンの構造自体は原作の配置に近い形を残しつつも、アレンジが加えられているので、懐かしい気分と新鮮な気分を両方味わうことができるだろう。
宝箱から入手できるアイテムにも変化が。SFC版ではすごろく場の特定のマスでしか入手できなかった、ブーメランがナジミの塔の宝箱から見つけることができた。ブーメランは『DQV』以降敵全体に攻撃できる武器として、勇者が装備することで攻略に役立つ武器としておなじみ。
SFC版では「おてんばじてん」があった場所では「わんぱくじてん」になっていた。おてんばじてんが女性キャラクター専用アイテムだったので、そこに置き換わった形かもしれない。本は使用することでキャラクターの性格が変わり、レベルアップ時のステータスが変わる要素。
いざないの洞窟の封印された石壁がある場所は原作だとマップの下方向にあったが、今作では「壁を破壊する」という演出の関係か、上方向に変更されている。
ほかにもビジュアルやオーケストラ音源だけでなく、環境音も「とてもよい」と感じられる部分だった。鳥がはばたく音、水の流れる音、風が吹く音、火がゆらめく音など細かく用意されており、その場の空気感や雰囲気が伝わってくる。
バトル
原作と同じくランダムエンカウントによりバトルが発生する。コマンド選択画面ではパーティの後ろ姿が表示され、装備している武器のグラフィックも反映されるようになった。コマンド実行中は敵だけが表示される。
「さくせん」で「めいれいさせろ」を選択すればプレイヤーが行動を選択でき、それ以外だと作戦内容に合わせて自動的に行動する。また、今作では作戦行動中でも「やくそう」を使って回復してくれる場面もあった。これまでよりも効果的に戦ってくれそうだ。
さらに戦闘中に便利な部分としては、『DQXI S』のようにL1・R1ボタンでバトルスピードを「ふつう」「はやい」「超はやい」の3段階から選択できる機能。「超はやい」にすると演出速度がかなり上がるのでサクサクバトルを進めることができる。また、タッチパッドを押すことでUIを非表示にできるほか、△ボタン長押しで「にげる」ことも可能。
今作では敵の同時出現数が多い印象で、おもに4~6匹くらい出現する傾向(今回のプレイでは最小で3匹、最大で8匹だった)。本作では戦闘中に「とくぎ」が使用できるようになっているため、そのあたり含めての調整でもあるかもしれない。試遊ではパーティのレベルが勇者が9、ほかの仲間は10と高めに設定されていたので、僧侶のバギと魔法使いのギラ+αくらいで一掃することはできた。
なお、原作だと僧侶がバギを覚えるレベルは12。開発中バージョンなのでなんとも言えないが、今作では少し早めに習得していることになる。ブーメランがナジミの塔で入手できることもあり、今作では序盤から範囲攻撃で戦っていきやすいのかもしれない。
★難易度の変更も可能!
システム設定からバトルの難易度を3段階から自由に変更することもできる。
楽ちんプレイ:バトルが簡単になるようだが、詳しい部分は不明。
バッチリ冒険:通常の難易度。デフォルトはコレ。
いばらの道だぜ:敵の強さがアップし、入手できる経験値とお金が減少する。
<同条件の戦闘と比較した場合>
バッチリ冒険:経験値8 ゴールド8
いばらの道だぜ:経験値5 ゴールド6
※まだ開発中のバージョンなので製品版と同じ割合になるかは不明。
セーブ
原作だと王様に話しかけてセーブをする方式だったが、今作では教会から「おいのりをする」でセーブする方式になった。また、オートセーブにも対応しており、戦闘終了後やエリアが切り替わったタイミングで発生する。
手動セーブとオートセーブは別のデータ扱いとなり、タイトル画面から「冒険の書をえらぶ」か「オートセーブから再開する」かを選べる。冒険の書は9つまで作成可能。
また、「冒険の中断」から一時的にセーブしてタイトル画面に戻ることもでき、再開した際にその一時セーブデータはなくなる。
オートセーブ時は画面右下に出るアイコンが目印。必然的にオートセーブ頻度は高いため、ダンジョンも安心して進めやすくなった。
キメラのつばさ
今風に言うとファストトラベル用のアイテム。『DQXI』のように頭をぶつけなくなったので、どこからでも使用可能。一度訪れたことのある町やダンジョンなどへ瞬時に移動できる。試遊ではPS5版ということもあってかロード時間は一瞬だった。
どの施設があるかもアイコンで表示される。また、この画面でも目的ガイドを表示させることができるので、「どこ行けばいいんだっけ」とど忘れした際も安心だ。至れり尽くせり。
各種便利機能
■目的ガイド
メニュー画面を開くと、画面右側で次に目指すべき内容や場所が表示される。昨今のゲームでは当たり前になってきたガイド機能周りが本作でもいろいろ実装されている。目的ガイドはシステム設定でオフにすることも可能。
■チュートリアル
重要なシステム周りについてはチュートリアルが表示。ドラクエ初プレイやゲームのセオリーに詳しくない場合でも把握しながら進めていける。
■おもいで
フィールドでオプションボタンを押すと、最後に会話した内容を記録することができる。記録した内容はメニュー画面の「おもいで」から確認することができ、最大30個まで保存可能。
オプションボタンを押すと「先程の出来事を記録しました」というメッセージがSEとともに画面上に表示される。その後「おもいで」から記録した場所の画像と会話内容を振り返ることができるのだ。目的地の場所や気になるメッセージがあったら記録しておくといいだろう。会話内容を忘れがちなプレイヤーにはありがたいシステム(自分がそのタイプ)。
■自動そうび
装備画面で△ボタンを長押しすると、現在所持している武具の中から一番強いものを自動的に装備できる。新しい装備を入手したら自動装備を試しておくのもよさそうだ。
■ほぼまんたん
『DQXI』にもあったシステム。今作ではメニュー画面から△長押しでパーティのHPを回復させることができる。
といったように、あまり悩まずともサポートシステムを頼りにしながら進めていける設計になっている。
システム設定
メニュー画面の「さくせん」から選べる項目である「システム設定」から、様々なゲームの設定を変更できる。
■バトルスピード設定
バトル中でも変更できる部分。戦闘の演出を「ふつう」「はやい」「超はやい」の3段階に変更できる。
■画面設定
カメラ距離を「ふつう」「ちかめ」の2つから選べる。「ちかめ」にすると視野は狭まるがキャラクターやオブジェクトを少し大きく確認できる。 ミニマップがあるため好みで選んでもいいかも。
▶ミニマップ、ミニマップ表示範囲
画面右上に表示されるミニマップのオン・オフと、ミニマップの表示範囲を「せまい」「ひろい」から選択できる。
▶動作モード
「FPS優先」「グラフィック優先」から選択可能。今回試遊したPS5版だと、グラフィック優先でも60fpsは安定していた。
上の画像の左がグラフィック優先、右がFPS優先。パッと見で大きな差はないが、よーく見ると左の方がくっきりしているのがわかる。
■サウンド設定
BGM、環境音、効果音、ボイスの音量調整と、ボイスの自動送りのオン・オフが選択できる。本作ではバトルやイベントシーンでボイスが流れるようだが、試遊ではボイスはオフ固定であったので、詳しい部分は確認できなかった。現段階では勇者のバトルボイスキャストのみ発表されている。
■ガイド機能設定
メニュー画面を開いたときに表示される目的ガイドテキストや、目的地マーカーのオン・オフを選べる。常に目的をわかりやすくしたい場合は両方オンに、逆に原作の頃のように極力ヒントなしでやりたい際は両方オフにするとよさそうだ。
■ゲームモード設定
ゲームモード(難易度)を「楽ちんプレイ」「バッチリ冒険」「いばらの道だぜ」から選択できる。デフォルトは「バッチリ冒険」。いつでも変更できるので、サクサク進めたいときは「楽ちんプレイ」に、歯ごたえがほしくなってきたら「いばらの道だぜ」に変更するなど状況に合わせて適宜変えてみるのもいいかも。
■便利機能設定
ダッシュ操作を「おす」「きりかえ」、メッセージ表示は「ふつう」「いっしゅん」から選べる。ダッシュは「おす」だと○ボタンを押し続けている間がダッシュとなり、「きりかえ」だと○ボタンを押すごとにダッシュ↔️歩くが切り替わる。
■ふりがな設定
オンにするとメッセージ内の漢字にルビ(ふりがな)が振られる。
■ひらがな設定
オンにするとゲーム内の漢字がすべてひらがなに切り替わる。ふりがな設定と合わせ、低年齢層でも遊びやすいデザイン。
■決定ボタン設定
デュアルセンスの決定ボタン(☓)とキャンセルボタン(○)を変更できる。PS5の☓ボタン決定に慣れていない人でも安心。
というようにシステム設定の項目が充実しており、幅広いユーザーに対応した形となった。プレイしやすい作品になっている。
短い試遊時間ではあったものの、開発陣のコメントにもあった「ドラクエファンも新鮮な気持ちで遊べる」「現代にリリースされるゲームとしてふさわしい遊びやすさ」は十分に感じることができた。原作のイメージを損なわず、現代的なアレンジが施された理想的なリメイクの形である。グラフィックよし、音楽よし、テンポよし、システムは親切。これは長年待ったかいがあるというもの。
当時原作で挫折した人も36年越しにクリアまで目指すいい機会。もし昔の感覚でプレイしたい際は、システム設定でミニマップや目的ガイド周りをオフにしつつ、「いばらの道だぜ」で縛りプレイをするのもいいのでは。
ボイス部分や追加エピソードなど、試遊では触れられなかったシステムもあるので、そのあたりの情報を今後楽しみにしていこう! VジャンプWEBのドラクエ情報記事「週刊少年ドラクエWEB!!」でも随時情報を発信していきます!
おわり
『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』
対応機種:Nintendo Switch / PlayStation5 / Xbox Series X|S / Steam / Microsoft Store on Windows
ジャンル:RPG
プレイ人数:1人
発売日:2024年11月14日(木) ※Steam版のみ2024年11月15日(金)
CERO:B
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