ウチダ
今日はよろしくお願いします!
高木
よろしくお願いします。
葛西
最初の質問なんですが…子供時代はどんな仕事に就きたかったんですか?
高木
一般的かもしれないけれど、子供の頃はプロ野球選手ですね。ぼくらの時代は巨人軍が黄金時代だったので、あこがれの選手は長嶋・王。ぼくも小学校の頃から野球部に入って、毎日野球ばかりやっていました。結局、中学2年生くらいで「自分よりうまい奴が山ほどいるから、これはムリだな」と挫折するんですが。そのあとは陸上部に行って短距離走をやりましたね。足は速かったんです(笑)。そして、勉強は全然しませんでしたね。
ウチダ
高校とか大学の頃は何になろうと思っていたんですか?
高木
絵を描いたり、ファッションに興味があったのでそういう仕事につければいいなと。どこか洋服屋に入りたいなー、なんて考えてました。その後は映画も好きになって、とくに東映で作られていた任侠映画(※1)が大好きだったんです。それで映画会社に入りたい、せっかくならやっぱり東映に入りたいと思って。大学の卒業が迫ったときにいろいろと調べたら東映はその年、募集をしていなかったんです。グループ会社で唯一募集していたのが『東映シーエム』という、コマーシャルを作る会社だったんです。そこに入ったのが現在に至る第一歩でした。
葛西
そこでは、どんな仕事をされていたんですか?
高木
東映シーエムにいたのは2年もないぐらいだったんですが、TVコマーシャルの制作進行をしていました。とはいっても半分は雑用係のようなもので、なんでもやらないといけない。当時のTVコマーシャルは映画と同様、35mmのフィルムで撮影するので、試写するときは映画館と同じ映写機で上映するんです。そのフィルムをセットしてスクリーンに写したりと、映写技師の技術まで身に付きました。朝も夜もなく撮影の準備に追われていたことをよくおぼえています。
ウチダ
東映アニメーション(当時は東映動画)には、どんなきっかけで移られたんですか?
高木
会社に入ってくる人はみんな演出家志望で、映像を作りたい人間ばかりだったんです。そこにきて、自分はプロデューサー志望だったのでなんとなく水が合わなかったんでしょう。社長直々に「君は向いてないね」と言われて(笑)。代わりに「東映動画で営業を欲しがっているから、そちらに移ってみないか」とすすめられて、東映動画に入ったんです。子供の頃はTVアニメをふつうに見ていたし、好きだったんですが…自分がアニメの仕事をするなんて、それまで夢にも思わなかったですね。
葛西
アニメ好きが高じて入る人が多いと思いますが、そうではなかったんですね。東映動画に移られてからは、どんな仕事をされたのでしょうか。
高木
まずは商品営業部。自社のアニメグッズをメーカーさんに作ってもらい、それを大型スーパーなどに売り込む仕事をしていました。その後は版権。商品化の窓口ですね。ぼくが東映動画に来て1年後に『Dr.スランプ アラレちゃん』(※2)がスタートしたんですが、いろんな商品化をそこでやらせていただいて。すごく勉強させていただきました。
葛西
アニメが大ヒットして、社会現象になったとも聞いています。
高木
当時はまだパソコンがないので、商品化の申請書も全部紙で、しかも手書きなんですよ。グッズを作りたいという会社の人に、それをFAXで送ってもらうか、直接届けにきてもらうという感じだったんですが、会社に来ると…机の上に山ほど積みあがってるんです。しかも、これを台帳に手書きで記録していかないといけない(笑)。当時、ぼくは毎日その記入に半日かかってましたから。それくらい人気があったんです。
ウチダ
『Dr.スランプ アラレちゃん』グッズの中で一番売れたものってなんですか?
高木
うーん、一番といったらやっぱり帽子じゃないですかね。
ウチダ
あー、なるほど! 今でも新たなモノが売れていますもんね。
高木
あとは『くいつきガッちゃんぼ~』という、マジックハンドのようなアイテムもよく売れました。当時、有名な歌番組で司会の人が偶然使ったら、翌日はさらに売れて。そのとき『TVの力ってスゴいんだなー。作ったものはどんどんTVに出していこう』と思って、以降タイアップを考えていくうえでのきっかけになりました。
葛西
さて、現在の東映アニメーションについても伺っていきたいと思います。現在では、日本のアニメは世界へと広がりを見せていますが、どのような世界戦略をお考えですか?
高木
日本国内の市場も大事ですが、今後のカギは海外での市場をどれだけ大きくできるかだと思います。その点では『ドラゴンボール』『ONE PIECE』という世界中で知られるメジャーな作品があるので、これらの作品をくまなく世界中に届けていくことがこれからの重要な仕事になっていきます。
ウチダ
最新TVアニメシリーズ『ドラゴンボール超』もすごく好評ですよね。
高木
とくに海外の人たちの反応、期待感が高いです。今後は劇場版を定期的に作っていけるような形にできたらいいなと思っています。その中で、3DCGの作品を入れられるかが大きなポイントになってきます。
ウチダ
USJで上映中の『ドラゴンボールZ・ザ・リアル 4-D』も3DCGアニメーションでしたが、スゴかったですもんね!
高木
日本では長年2Dアニメーションが主流でしたが、海外でも売れる作品を…と考えると、やはりこれれからは3DCGの作品が大事になってくるんじゃないかと思います。東映アニメーションでもCG映像を制作するデジタル映像部があるんですが、いまや百人以上の大所帯ですからね。今後、作品としての需要も増えていくんじゃないかと思います。
葛西
劇場版アニメが現在大ヒット中の『ONE PIECE』については、いかがでしょうか。
高木
『STRONG WORLD』から始まって、尾田先生が製作総指揮を務める3作目の劇場版アニメ『ONE PIECE FILM GOLD』が公開になりましたが、今回はかつてない規模のタイアップ、コラボキャンペーンを展開しました。とくにすごかったのはセブンイレブングループとイオングループで同時にタイアップができたことですね。これは前例がないんじゃないでしょうか。このおかげで、日本中のいろいろなお店で『FILM GOLD』のキャンペーンが目に入ってきたと思います。原作にはキャラクターをはじめ、新しいモノが次々と出てくるので我々も原作の魅力を十分に引き出せるよう、新しいことにチャレンジしています。どの世代が見ても面白いと思えるような、新鮮さを失わない作品づくりを心がけていきたいですね。
ウチダ
秋からスタートする『デジモンユニバース アプリモンスターズ』は、どうですか?
高木
ぼく自身、とっても期待しています!Vジャンプさん・バンダイさんとスクラムを組んで作ってきた『デジモン』(※3)の流れを継ぐ作品ですが、おもちゃショーの発表を見たときに周囲からの注目度・期待感も相当に高いなと思いました。『デジモン』のときも小学校低学年の男子、とターゲットがハッキリしていましたが、今回も同様に、その世代の心に響く作品ができあがってくるんじゃないかと信じています。
葛西
今後、ジャンプ作品の中で作ってみたいと思うようなモノはありますか?
高木
やはり今は、子供むけの作品が少なくなってきているので、『アプモン』もそうなんですが子供むけのアニメを作る、ということはがんばっていきたいです。その中でVジャンプさんの作品は子供むけのものが多いので、新しい何かが作れるんじゃないかと思います!
ウチダ
ヤッター! 今後とも、ぜひご協力をお願いします!
葛西
これを読んでいる、アニメ業界志望の読者になにかアドバイスがあれば教えてください!
高木
子供のうちに、好きなことをいっぱいやったらいいんじゃないかと思います。趣味をいっぱい持つというか、興味のあることには何でもチャレンジしてみると、その中から自分がやりたいこと、得意なモノがわかってくると思うので、それを伸ばしていくといいんじゃないでしょうか。
ウチダ
社長になるためのアドバイスもあったら、お願いします!
高木
ぼくも、なんとなくなっちゃったからなー。社長になりたいと思ったこともないし、なるなんて想像もしなかった。ぼくの場合は時代の流れ…という部分も大きかったから、ウチダさんの場合もそういうものが味方してくれたら、なる可能性は大きくなると思いますよ。
ウチダ
ありがとうございます!

※1…アウトローを主人公にして、彼らの生きざまを描いた映画。高倉健などが主演し、当時多くの男性があこがれた。
※2…1981年4月からスタートしたTVアニメ。鳥山明先生のマンガが原作。高視聴率を記録し、その人気は社会現象となった。キャラクターたちは現在も、TVCMなどで活躍中。
※3…『デジタルモンスター』の略。1997年にバンダイから発売されたおもちゃをきっかけに、TVアニメやマンガに発展。多くの少年の心をわしづかみにした。